※コマンド設定。
君の瞳にはいつも...
ウルフとレオンがいない、サルガッソーのコロニー。
ブラックローズとコーネリアファイターの整備を終えた俺は、廊下にクリスタルが佇ん
でいるのを見つけた。
その表情は、ヘルメット越しではわからない。
「クリスタル」
声をかけると、クリスタルは窓から目を離し、「あぁ、パンサー」と返事を返す。
その声は元気が無さそうに聞こえる。
「何か探してるのかい?」
口元にふっと笑みを浮かべ、彼女は
「そんなんじゃ、ないわ」
と答えた。そして窓に身を任せるように、よりかかる。
「てっきり、あの狐くんたちを探してるのかと思ったよ」
その言葉に、クリスタルは右手で左腕を掴む。
「……なんで探さなきゃいけないの?
私をスターフォックスから追放したあの人を……」
「あぁ、ごめんごめん。違ってたみたいだな」
思わず地雷を踏んでしまった俺は謝った。
でも、と改まって問う。
「俺が誘っておいてなんだが、ここに来て、後悔してないか?」
「してないわ。
私がスターフォックスチーム以外で知ってるのは、あなたたちくらいだもの。
それに、断られると思ってたのに、あっさりと受け入れてくれた。
ここの人たちには凄く感謝してるわ。……あなたにもね」
最後は小声でぼそっとだが、耳に届いた。
意地っ張りで、素直じゃない彼女のたった一言。
それが聞けて、素直に嬉しい。
「整備してもらって悪いけど、コーネリアファイター使うわね」
クリスタルは俺の横をすり抜け、この場を走り去った。
一人になると、宇宙を眺める。
彼女が見つめている宇宙。
このライラット系のどこかに、彼女が所属していた遊撃隊・スターフォックスのリーダ
ーがいる。
口では「何で探さないといけないの?」と言っていたが、本当はまだ、どこかで想って
るんだと思う。
そんなに簡単に割り切れるものではないから。
そう思うと、ずきっと胸が痛くなった。
君という人が、自分だけのものになればいいのに。
そしたら、君が心くじけた時、いつでも手を差し伸べられるのに。
たまには意地を張らずに、俺の前で癇癪を起こして欲しい。
そしたら、あの狐と違う方法で、ちゃんと受け止めて、支えてやれたのに。
俺は、そう思う。
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